パキスタンで、日本人とパキスタン人が国際結婚する手続き

パキスタン結婚手続き

【免責事項】

このページに記載された情報は正確に記載するよう心がけておりますが、予告なく変更されたり誤りを含む場合があります。

 

ご参考程度にとどめ必ず最新情報をパキスタンの官憲にお問い合わせのうえ行動してください。


Ⅰ パキスタンにおける3種の婚姻法

パキスタンにおける婚姻法は、当事者が信じている宗教により異なります。

 

1)ムスリム婚姻法:イスラム教徒同士の結婚、キリスト教徒又はユダヤ教徒である女性とイスラム教徒男性の結婚に適用されます。

 

2)ヒンドゥー教徒法:ヒンドゥー教徒同士の結婚に適用されます。

 

3)特別婚姻法:いずれの宗教にも属さない者、ヒンドゥー教徒、仏教徒、シーク教徒、ジャイナ教徒に適用されます。

 

Ⅱ ムスリム法による婚姻

Ⅱ-1 概要

ムスリム法による婚姻はニカー(nikah)と呼ばれます。ニカーは民事契約であり、これにより男女の生殖行為が合法となります。

 

民事契約としてのニカーが成立するためにはその前提として、婚資(マフル)の設定が必要です。

婚資(マフル)とは財産の総称で、挙式時に夫が妻に与えるか、将来(例えば夫の死亡時など)与えることを約束します。

夫が妻に財産を付与しなければ、婚姻は成立しないのです。

 

ムスリム法により結婚する場合には、夫婦ともにイスラム教徒である必要がありますが、例外的に妻がキリスト教徒又はユダヤ教徒である場合には、イスラム教徒の男性とこの法律に基づいて結婚することができます。

従ってこの法律に基づいてイスラム教徒のパキスタン人男性と日本人女性が結婚する場合、必ずしも日本人がイスラム教徒に改宗しなくてもキリスト教徒(またはユダヤ教徒)であれば良いことを意味します。

 

Ⅱ-2 結婚の証人

イスラム教シーア派法では証人は不要ですが、スンニ派の場合は挙式に2名の証人の立会いが求められます。

 

Ⅱ-3 待婚期間

婚姻歴のある女性には待婚期間があります。離婚をした場合には3月経期間または3か月、死別の場合は4月10日とされています。

 

Ⅱ-4 婚姻契約書(ニカー・ナマ、Nikah nama)

パキスタン結婚手続き

ニカー(Nikah)はイスラム法に基づく婚姻のことで、ナマ(Nama)は契約書のことを言います。つまりニカーナマ(Nikah nama)とは婚姻契約書のことです。

 

日本では婚姻契約書は婚姻の成立要件ではありませんが、パキスタンでは婚姻契約書たるニカー・ナマを締結・作成しないと結婚が成立しません。

ニカーナマには、婚資(マフル)の金額や支払い方法・支払い時期、婚姻前に取得した財産の帰属などが記載されます。

婚資の受給権を放棄するニカーナマの条項は無効であり、婚資の支払いがないときは妻は夫との同居を拒むことができます。

 

それほどまでにパキスタンの婚姻において、婚資は重要です。


Ⅲ 日本の配偶者ビザの取得

配偶者ビザ

結婚が完了したパキスタン人のお相手と日本での結婚生活をご希望の場合は、日本の入国管理局で配偶者ビザの申請をする必要があります。

こちらは届出制の結婚手続きと違って「許可制」ですので、結婚手続きが無事に済んだ方も油断は禁物です。むしろ、ここからが山場であるとご認識されるべきでしょう。

・対面での交際期間が短い

・日本人の収入が少ない

・年齢差が大きい

・雇用形態が不安定

・お互いの家族に対面で挨拶していない

等々・・・不許可になりがちな要因をお持ちの方は注意が必要です。

 

このページには書ききれない配偶者ビザ取得のノウハウはこちらの特設サイトでご確認ください。>>配偶者ビザ


この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザほか多数。